April 24, 2009

アメリカのパスポートなんていらん。そんなもんはクソだ。


「ミリキタニの猫」を見た。

ミリキタニの猫 [DVD]




この映画はスバラシイ。

ドキュメンタリーは、被写体との距離を一定に保って作る手法と、介入しまくって被写体を動かしていく手法がある。一定に保ったところで、どこをどう撮るか使うか捨てるか、どう編集するか音楽つけるかナレーションつけるか、で全然違うわけだけど。

オウム真理教の広報部副部長、荒木浩を追った「A」は基本的に前者のため、森達也がその中で距離の取り方で悩んでいるシーンがあるし、マイケル・ムーアとか近年のドキュ監督が後者なのは言うまでもない。で、この「ミリキタニの猫」なんだけど……

どちらでもなく、どちらでもある。

という微妙な関係を持った奇跡の作品だ。監督のリンダ・ハッテンドーフは、ミリキタニを一定の距離をとりながら追うつもりでありながら、必要に迫られて接触・介入せざるを得なくなる。そこから極めて自然に、どんどん物事が動いて状況が変わっていく。

んだけど、実はミリキタニ自身は、何も変わらない。柔らかくなり、外面がよくなっていくという性格面での変化はあるものの、戦争で受けた傷も怒りも変わらない(記事のタイトルは彼のセリフ)。絵を描く熱意も変わらない。何も変わらないのだ。

そして、変わっていくのは周囲の人間であり、延いては我々なのだ。そこが凄い。

ちなみに、DVDだと特典あり。ラッキー。来日したときの舞台挨拶とか、かわいかった。そして、広島の追悼式典に出席した映像があるんだが、それがまた凄かった。あんなに魂こもった歌って、そうそう聴けない。びっくりした。すげえもん見た。

あ、あと、リンダの家の猫がすげえ可愛かった。

ミリキタニの猫 [DVD]
ミリキタニの猫

A [DVD]
A(森達也)

シッコ [DVD]
シッコ(マイケル・ムーア)


motecinema at 11:44│Comments(0) ★★★★ いい映画 

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