April 14, 2009

青いチンコは最後まで勃起しなかった。

「ウォッチメン」を見た。

ウォッチメン [DVD]



“世界の警察”アメリカ合衆国が大好きな「正義」と「ヒーロー」を皮肉たっぷりに描いたSFアクションミステリー。ヒーローの存在意義や正義のあり方を問うのは大いに結構だが、クライマックスに対する行動を主人公の成長や変化によらず、ただの「究極の選択」で処理してるところが決定的に好かん。

「選択」という点で言うなら、よく比べられる「ダークナイト」でも劇中の一般人に対し、そのものズバリ「選択」をさせるシーンがあったが、あれは主人公の思想の正しさ確認とラストの行動への共感補助において大いに意味があったが、「ウォッチメン」のラストはそういった相乗効果はなく、単に「選択」だけが浮いている。

未来に起こるらしい核戦争への対処がラストの「選択」なんだが、それぞれのヒーローがそういう性格だからそういう選択をする……というだけのことで、誰も成長も変化もせず、いや成長しなくてもいいんだけど、かといって自分を再確認するってほどのこともなく、ただ今まで通りの行動選択を取るだけだから進展がない。

つまり、主人公らをただ紹介しただけでラストを迎えるので、たまたま共感できた人だけが好きになる、そんな映画だ。私は、頑ななまでにわかりやすい正義を説いていたロールシャッハには少しは共感できたけど、それでも平気で人を殺すから全面的には受け入れられない。他の面々は問題外。なんなんだ、あいつら。

くだらない恋愛したり、分身にセックスさせたり、レイプしたり、一般人を平気で撃ったり、青いちんこを隠しもしないでうろうろしたり、気まぐれで中途半端に火事から人を救ったり、そのあげく変な飛行体の中でセックスしたり、アホかってんだ。それをまたヒーローの実状・裏側を描いてる、とか言って喜ぶ観客もアホらしい。

だからなんなんだ。描いたからなんなんだ。

だいたい、すげえ覚悟して鍛錬してヒーローやってたはずの彼らが、いくらなんでもフツウの人間でもしない程のみっともない実生活を過ごしてるわけがないだろう。んな奴は最初からヒーローになんかなれない。「スパイダーマン」を思い出せ。大いなる力には大いなる責任が伴うんだ。つまり……

描けてないんだよ、ヒーローの裏側なんて。

それにしても、平和のためには多少の犠牲は仕方ないというアメリカの原爆投下から全く進歩してない陳腐な諦め的「正義の選択」が気に入らない。原爆を想像せずに、あるいは想像してもなおこの選択を肯定できる日本人の気が知れない。しかも、それを非難するロールシャッハを殺すという「暴力的正義」の駄目押しが気に入らない。

犠牲によって平和を作るなんてことを認めたら、俺もアナタも殺されるかもしれないんだぜ。それも受け入れるってことなんだぜ。ラストのこれを現実的でいいって褒めてる連中がいるけど、自分が犠牲になる側でもいいのか? 平和のためなら殺されてもいいのか? だったらお前が一番のヒーローだぜ、勝手に死ね。

だいたい、多少の犠牲はアリかナシかという議論になってること自体、実はオカシイ。つまりそれによって平和達成という前提になってるわけだけど、あんなんで冷戦とか核とかと関係ないところでの内戦・紛争が止まるわけねえだろ。真面目な顔して青いちんこぶらさげてねえで、ちゃんと考えろ。つーか、お前が死ね。

……という映画でした。

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motecinema at 16:35│Comments(0) ★★ ダメな映画 

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