April 04, 2009

ヒットラーに仕えるのか、国に仕えるのか


「ワルキューレ」を見た。


かの有名なヒットラー暗殺計画という題材で、監督が「ユージュアル・サスペクツ」のブライアン・シンガーということで、けっこー期待して見た。そして、その期待に応えてくれた。脱獄映画にも似た、余計なことを一切やらない潔いストーリー展開にドキドキした。良かった。

失敗すれば妻子までも捕まって処刑されるのは必至という状況を考えると、今どきの作り手ならこれを使わない手はないとばかりに感動ストーリーに仕立て上げてしまうところ。が、この妻子を「無視するのもなんだから」程度の必要最低限な描写に抑えているのが偉い。潔い。

妻子の例に代表されるように、とにかく余計なことを描かずにどんどん暗殺計画のスリルで引っ張っていくので、手に汗握る握る。やっぱりこのドキドキが映画だよね。それでいて、全体として戦争の虚しさや人間の限界を説教臭くない程度に感じさせていて、胸が苦しくなる。スバラシイ。

ただ、実話なので、今さらああだこうだ言ってもしょうがないんだけど、やっぱり言いたくなるのは暗殺のやり方。爆弾を仕掛けた者がヒットラーの死を確認せずにその場を去るというのは、あんまりだ。自爆テロやりまくりのイスラム過激派が見たら、スクリーンに唾を吐くんじゃなかろうか。

とはいえ、映画は良かった。トム・クルーズも良かった。印象的なシーンや演技なんて何もないけど、それはそういうシナリオだから。役者として的確にいい仕事をしてた。彼は近年、要チェック。「マグノリア」は言うまでもないけど、「トロピック・サンダー」のトム・クルーズも面白かったし。

あと思ったのは、この映画は暗殺の実行シーンに重きを置いているので、今度は実行に至るまでの仲間を集めたり、情報を入手したりという様々な地味な作戦の部分を描いた映画を見てみたい。たくさんあった暗殺計画の中でもこれだけが惜しかったのは、きっと実行までの道のりが丁寧で巧妙だったからだろう。気になる。



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motecinema at 11:36│Comments(0) ★★★★ いい映画 

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