February 10, 2009

みんなポチだ

「ポチの告白」を見た。



これは、構成がどうとか演出がどうとかグダグダ喋る映画ではない。この手の映画には、分析なんて必要ない。映画の文法を超越した作品である。が、最近はなるべく感想を書いて残すことにしてるので、書く。とにかく書いておく。

これは、登場人物が観客に訴えかけてくるような、客席にじっと座ってることがいけないような、恐ろしい映画だ。主演の菅田俊の顔のすぐ奥に、高橋玄監督の顔が見えた。エンタテインメントなんてクダラネエと吐き捨てるがごとく、ひたすら警察の腐敗と犯罪、マスコミと社会全体、ひいては観客全員を糾弾していた。

大がかりなセットなんてそうそう組める訳もなく、低予算のために広い画を撮れないという事情もあっただろうが、その不利を逆に生かし切って観客に迫る狭い画が迫力満点だった。フツウの映画ではあり得ないようなおかしな照明も、潔くて好きだ。この映画で何をやるのか、全てのスタッフが明確にわかっている、それがよくわかる。素晴らしい。

ただ、物語としての構成は、やや弱い。警察の色んな側面を描こうとし過ぎて、散漫だ。ストーリーには、従順な警察官の菅田俊が、裏金作りなどに手を染めざるを得なくなり、結果、堕ちていく、という大きな軸が一本あるわけだが、交番での暴行とか主軸とズレてるネタがちょろちょろあった。これは尺が長くなるだけで、主軸がぼやけるから良くない。

また、主軸である菅田俊を描く以上、大事なのは妻の井上晴美なんだが、尻切れトンボで後半は無視された。警察の腐敗を訴える映画のため、一般人を描いてる余裕がなくなったのだろうが、だったら最初からあんまり描かなければ良かったのだ。あれでは、井上晴美がなんのためにいるのかわからず、不完全燃焼。残念。

あと決定的にまずかったのは、菅田俊の人物像。ハナから従順で上司に反抗しない人間なのは、おかしい。真面目な奴ほど利用されてしまうという現実はわかるが、それではバカっぽくて共感できない。上司に楯突くような奴でもどうしても警察では従順に生きていくことしかできず、仕方なく……という形じゃないと、そりゃ自業自得だろ、と言われても仕方ない。

……と、なんか色々けなすようなことを書いてしまったが、けなす気はない。ついつい、この作品をもっと良くするためにはどうしたらいいのか? という視点で見てしまうので、このブログの感想はいつもこうなってしまう。こんな映画作ったら警察に睨まれて大変だろうし、まさに命懸けで作った人たちを相手に何様なのだろう。俺は。


北海道警察の冷たい夏―稲葉事件の深層北海道警察の冷たい夏
〜稲葉事件の深層〜


この稲葉が主人公のモデルではないだろうか。菅田俊より派手にやってたようだが、とにかく似ている。


motecinema at 02:52│Comments(0)★★★★ いい映画 

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